修了生の声



 

松原理乃さん

▼現在の所属:関西学院大学国際学部2年

▼参加した年:2022年

▼当時の在籍学校と学年:関西学院千里国際中等部・高等部 高等部3年


「福島学カレッジ」に参加したきっかけは何ですか?

高校時代に、学校の授業の一環で福島について勉強したことです。未曾有の大災害を経験した福島には、さまざまな課題が山積しています。その一方で、その解決に取り組む若者はまだまだ多くないことを知りました。高校生の私でも、なにか携わることができるチャンスがあるのではと思い、参加を決めました。

高校時代に中間貯蔵施設を見学

肌で感じた福島の課題と可能性を描き応募した「『福島、その先の環境へ。』チャレンジ・アワード」で2021年は入賞・翌年には環境大臣賞に

「福島学カレッジ」ではどんな研究をしましたか?

東日本大震災が起きた直後の4時間に、Twitter(現在のX)でどんなことがつぶやかれていたかの研究を行いました。”福島第一原発”とツイートされた数とその特徴について約2,000件のつぶやきを分類し、分析を行ったところ、当時の情報伝播の様子や、市民がとった行動や感情が色濃く反映されていたことがわかりました。

福島学カレッジでともに研究に取り組んだ仲間と 左から3番目が松原さん

研究していく中で、大変だったことは?

膨大なデータを手作業で分析するのは、正直、大変でした。しかし、研究者としては初心者である私に、開沼先生は的確なアドバイスで目標まで導いてくださいました。さらに、福島県内外から集まった他の受講生の新鮮な視点から刺激を受け、懸命に研究に取り組む姿を間近で見て「私も頑張ろう」と励まされていました。

受講した前後で、自分自身にどんな変化がありましたか?

研究の面でいうと、自分の興味関心から生まれた研究を半年も経たないうちに学会で発表できるまでの形にできたのは、大きな成長でした。
また、私は大阪府から参加したのですが、地元では出会えない方々、見られないもの、体験できないことに触れて、人生の幅が広がったと感じています。
大学に進学した後に気がついたのは、高校時代、福島学カレッジの時にはあった「道標」がなくなることでした。自分で自分の人生を決めていく大変さを痛感しましたが、カレッジの研究発表がきっかけとなり、学会で知り合ったベテラン大学研究者たちの研究班のメンバーに加わらせていただくという貴重な機会と出会いました。「これから自分がやっていきたいこと」を、この場所で見つけることができました。

卒業生として「カレッジ」参加者に研究の魅力を語る松原さん

「福島学カレッジ」の魅力をひと言で!その理由も教えてください。

「セミプロになれること」。
この福島学カレッジでは、中学生や高校生ではなかなかできないレベルの研究に取り組むことができます。研究を進めるにあたって、他の人にアドバイスを求めることや実際に現場に足を運んで学んだことで、ひとまわり成長した自分にも出会えました。

受講を検討している後輩たちへメッセージをお願いします。

こんなに福島について学び、研究できる環境が整っている場所は、他にはないです。少しでも興味のある方は、ぜひ参加してほしいと思っています。

いまも研究を続けながら野球部マネージャーとして学生生活に全力投球


 

石川明日香

▼現在の所属:國學院大學観光まちづくり学部1年

▼参加した年:2023年

▼当時の在籍学校と学年:福島県立郡山萌世高等学校4年


「福島学カレッジ」に参加したきっかけは何ですか?

かねてより開沼先生と高校の担任の先生と3人で進めていた福島に関わる社会問題の個人研究の区切りをつけようと考えていたおりに「福島学カレッジ」の参加の誘いを受けたのがきっかけです。 実は、私はもともと地元・福島に対してあまり関心がありませんでした。ところが福島県主催の高校生向け人材育成事業に参加する中で福島県の抱える様々な問題(特に福島の原発問題と社会的意識)についての関心が高まり、本格的に「研究」をしてみたいと思うようになったことが「福島学カレッジ」参加の決め手になりました。

「福島学カレッジ」ではどんな研究をしましたか?

『いかに「汚染水」は「処理水」になったのかー地方紙・全国紙の議題設定の差異と変遷ー』というテーマを設定し、福島第一原発の処理水海洋放出問題における風評を生み出している要因の一つに考えられてきたマスメディア、その中でも、新聞(全国紙6紙と地元紙2紙)を用いた研究に取り組みました。もとは『汚染水』という単語を使用していた処理水問題が『処理水』へと用語が変遷していく過程と報道傾向を、それそれの単語を用いた各新聞社の月ごとの見出し数に着目し、定量的調査で明らかにしました。

研究に取り組む石川さん

研究していく中で、大変だったことは?

自身で収集したデータの分析・意味付けが大変でした。グラフを注意深く見て、とにかく気になるところをたくさん出して言語化する、という先生方のアドバイスもあり、なんとか形にすることができました。

受講した前後で、自分自身にどんな変化がありましたか?

いまの福島が抱える問題に対する意識の高まりと、進学先の学部での学びの姿勢・モチベーションが向上したと感じています。

「福島学カレッジ」では最優秀賞を受賞

「福島学カレッジ」の魅力をひと言で!その理由も教えてください。

『何でもできる』
福島学カレッジには「福島のことを研究しなければならない」という制限はありません。自身の中にある社会に対するモヤモヤを言語化すれば、それを研究テーマにすることができます。例えば、少子高齢化・過疎化=「原発事故による避難での人口減少」などといったように、福島の抱える課題の多くには現代の社会的問題との共通点があります。福島について学ぶことが、あなたのモヤモヤを解消する近道になるかもしれません。

研究の成果は「東日本大震災・原子力災害学術研究集会」でも発表

受講を検討している後輩たちへメッセージをお願いします。

『才能とは執念である』
これは、私がいま通っている大学の尊敬する教授のことばです。 研究というものも自身の中の執念(才能)があって成せるものだと思います。もし画面の先のあなたが少しでも受講を検討しているのであれば、是非ともこの貴重な機会を逃さないで欲しいと思います。横浜の地から、皆さんの受講を応援しています。

「福島学カレッジ」での発表の様子


 

松崎甫乃花さん

▼現在の所属:山形大学人文社会科学部 2年

▼参加した年:2021年

▼参加当時の在籍学校と学年:福島県立磐城桜が丘高等学校 1年


高校生のときに福島の研究を始めたきっかけは何ですか?

1年生の時に福島県主催の高校生向け人材育成事業へ参加したことがきっかけです。活動の中で、福島のデータから得た気づき、被災された方のお話から得た気づき、同世代のディスカッションを通して得た気づきなど、たくさんの気づきを通して福島を知る魅力を感じ、その後も学校で探究活動を継続しました。

高校時代の松崎さん

松崎さんは2021年度に、高校生ながら伝承館の年度末報告会で研究発表をされました。どのように研究をしましたか?

福島第一原子力発電所事故に伴う風評被害に着目し、安心と安全について探求を行いました。 大学の先生からの講義、世論調査やアンケート調査などの比較・分析、新聞記者へのインタビュー、Google検索を用いた調査などを行い、プレゼンテーションの形にして報告会へ参加しました。

伝承館・年度末報告会の様子

研究していく中で、大変だったことは。どうやって乗り越えましたか?

福島県のネガティブな情報に触れることがつらく、探究をやめたいと思う時期がありました。しかし、探究活動の仲間や先生、活動の機会を用意してくださる方など、探究活動でつながりを持った方々に支えられて活動を継続することができました。

報告会でのプレゼンテーション(YouTubeより抜粋)

「福島学カレッジ」に参加して自分自身にどんな変化がありましたか?

福島に関する情報収集や、自分の考えの言語化を繰り返す過程で、福島に対する考えを客観視し、学びの材料として受け止めることができるようになりました。福島について学ぶ過程が自分自身を成長させてくれたと感じています。

高校生のうちから福島で研究する魅力をひと言で!その理由も教えてください。

私が思う福島を探究する魅力は「つながり」です。そのつながりから学び考えることで、自分を見つめ学び続けることができると思うからです。探究活動を通して、人とのつながり、県外とのつながり、福島とのつながりなど、たくさんのつながりを感じることができます。そこで得た学びは、探究活動の中だけではなく、日常生活や人間関係、進学・就職などで役立つものだと感じています。

受講を検討している後輩たちへメッセージをお願いします。

私は探究活動を始めるまで、地元である福島についてあまり興味がありませんでした。しかし、たくさんの方に支えられながら、福島について学ぶ魅力を知ったことで、大学生になった今でも福島を知り続けることができています。少しでも興味があれば、ぜひ飛び込んでみてください!自分自身を見つめ、成長させるきっかけになると思います!

大学生のいまも福島を伝え続ける